ご立派なタイトルを付けてしまいましたが、内容はそんなにご立派ではありません。
が、結構長めの文となってしまいました。内容の伴わない長文、取り合わせとして最悪過ぎる。最近の気づきについての書き留めとなりますので色々と(?)ご容赦ください。
ちゃちい予防線を張り一応の安心感を得ましたのでさっそく話に入っていくのですが、まず前提として私にとって絵を描くことは趣味であり、絵に関して専門的に学んだ経験はありません。独学と言えばかっこいいですが、学ぶべきことをすっ飛ばして好き勝手やってきただけの今、といった風なので、独学という言葉を使うのも何だか変な感じなんですよね。
しかしそんな好き勝手し放題の中にも長く続けていれば一丁前に拘りみたいなものが生まれてきて、それが私にとっての「線」なのだと思います。
絵と一口に言えど描き方は様々ですが、私の描き方は基本的にラフ→少し整えた下描き→線画→塗り→加工(エフェクトや色味など)でわりとオーソドックスな描き方じゃないかなと思います(と思いこんでいるだけで、もしかしたら最近は違うのかもしれません。ソシャゲの塗りなどを見ると、最近は圧倒的に厚塗りが多いような…時代によってオーソドックスも変化しているのかも)。
実は私は塗りが苦手で、これにあまり自信がありません。自分の塗りの質感は個人的にツルツルテカテカヌルヌルしていてどうにもしっくり来ないんですが、これが何年経っても改善出来ない。昔はそれが嫌で彩度が低めのグレー味がかった色選びや、影を何重にも重ねて陰影を表現する塗りをしがちだったんですが、これだとどうしても汚く見えてしまうんです。彩度や明度を上げ、出来るだけ重ね塗りをしないことでそこは改善したのですが、ツルテカヌル度は上がってしまい苦悩中。
若干話が逸れましたが、そういうわけで塗りが苦手で自信がない、でもどうせ描くなら絵に良い印象は持ってもらいたい…ならどうすれば良いか?を考えた結果、線を綺麗に引くことに意識を持っていこうとなったんですね。線の美しさがイコール自分の絵の「美しさ」になると思っていたのです。
ただ意識するうちに若干強迫観念みたいになってきて、線を綺麗に引かなければならない、整った線画でなければ完成した絵ではない…みたいな方向へ行ってしまいました。趣味なのに変な話ですが、譲れないラインみたいなものが出来てしまうと、ここを妥協することだけはプライドが許さねえ…!となる不思議。そういったものを持って作品づくりをすることは悪いことではないのですが、自分で自分を追い詰める方面にシフトしてしまうと辛いですよね。
しかしそもそも人が絵に対して感じるものは千差万別なので、この「美しさ」についても色彩であったり、描き込みの緻密さであったり、質感や空気感の表現であったり、描かれるシチュエーションであったり…人によって様々かと思います。
その中での個人的な「美しさ」への拘り、これは完全なるエゴなわけです。ここに魂を込めました!ここに時間掛かってます!どうだ美しいだろう!という部分を、見る側は全く意識していないかもしれないし、重視していないかもしれない。特に絵を描く行為を経験したことがない人にとっては、完成した絵そのもののみが全てであって、工程のことなんか知ったこっちゃないぜ!好きなキャラが描かれていればいいんだ!可愛ければいいんだ!という人も正直多いのではないかと思います。それが嫌だとか悪いということではなく、この差は実に興味深い点だと思います。
もちろん己の拘りを貫き通すことは素晴らしいことです。ただ私はこのギャップを感じることで、いい意味でそんなに追い詰められなくてもいいんじゃないか?と思えたんですよね。
最近は仕事との兼ね合いもあり、じっくり線を引いて引いて…という絵を量産する気力も体力も追いつかなくなってきて、でも絵を描くのは気晴らしにもなってはいるから描きたい、でも時間はそこまで割けない…という事情のときはラフからざっくり線を削って整えて、線の上にそのままベタッと色も乗せて微調整する、といったやり方もするようになりました。
もちろんこれはきっちり清書をするより荒い完成度にはなるのですが、やってみたら、「あれ?これだって全然「絵」じゃん。」となれたんです。何を当たり前のことを言っているんだと思うかもしれませんが、これでもいいんだ、これだって立派な完成した絵だよ!と目が覚めたと言うかなんと言うか。変ですよね。大体人様も色々な描き方をしていて、それを見て「この絵は未完成だ」なんて思わないはずなのに、今更ハッとなるという…もういい大人なのに視野が狭すぎる。
もちろん線に対する熱意や重視する気持ちが全く消えた訳ではありません。きっちりと線を引くことで生まれる「美しさ」はやはりあると思いますし、今日は気合を入れて描くぞ!というときはそこに時間を掛けます。ただ絵に対する気持ちに少し変化が生まれ、それが凝り固まってしまった自身の固定観念に良い働きかけをしていると思います。
皆さんの考える絵の「美しさ」とは何でしょうか。今はSNS時代で手軽に様々な絵が見られますので、考えてみると面白いかもしれません。
21 2023.6